オタク系キャバ嬢ひかり(29):消えた光
翌朝、ひかりさんからの連絡が届く。
ひかりさん「人気はないけど褒められて超嬉しいです!」
ひかりさん「自粛wwそうですよね。体調は大丈夫ですか?」
相変わらずノリの良いメッセージだ。
ただ、"自粛"の後に続く「ww」が少し気になる。
ちょっと馬鹿にされているような・・・。考え過ぎかな?
でも恐らく、こんな状況の中でキャバクラで働こうとするひかりさんには、外出を自粛する僕の姿は臆病で滑稽に見えたのかもしれない。まあ実際のところ、悪気はないと思うけれど。
僕の体調のことも心配してくれているし。
ひろし「体調は今のところ大丈夫!そっちこそ、お客さんに移されたりしてない?」
ひかりさん「全然大丈夫です!なんならお客さんは全然来ませんw」
ひかりさん「あんしんあんぜんです(涙)」
ひろし「そうなんだ!その業界はコロナ関係なくお客さんいるのかと思ってた。」
結論をお伝えすると、これ以降、ひかりさんからの連絡は途絶えた。
この約1ヶ月後、僕は酔っ払った勢いで適当なメッセージを送ったのだが、それに対しては既読すら付かなかった。
一体どうしたのだろう。
ひかりさんは何を思い、急に連絡を絶ってしまったのか。
そして、今はどこで何をしているのか。
答えは永久にわからない。
元気でいてくれると良いのだけど・・・。
振り返ってみると、ひかりさんは婚約破棄された僕に一瞬差し込んだ、希望の"ひかり"だった。
一時期は完全に惚れていたし、ひかりさんのことを考えているときは、婚約破棄女のことを忘れることが出来た。
そして婚約破棄女以降、一番僕と話してくれた女性だ。対面でも、LINEでも。
何かが少し違っていれば、もしかしたら違う結果になっていたかもしれない。
まあ、最初の問題は、ひかりさんの喫煙・整形に幻滅してしまったのがボタンの掛け違いの始まりだったわけだが。(でもそれも、もっと仲良くなってから知っていれば、感じ方が違ったかもしれない。)
つくづく、人生というのは難しいものだと感じる。
幸いなことに、ひかりさんに対して未練はない。
束の間の間、楽しい時間を与えてくれたひかりさんに感謝しつつ、僕は前に進んでいきたいと思う。
(完)
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▼ひかりさん編第1話
オタク系キャバ嬢ひかり(1):傷つき、それでも生きていかなければならない
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