酔いどれ会計士かおり(5):イッツオートマチック!?

タクシーで移動する10分間、僕はこの後どうしたら良いかを考えた。
だが、明確な答えは出なかった。

とりあえず、家の近くのコンビニの前でタクシーを降りた。
そして、コンビニでお酒を買った。アルコールがないと、この後を乗り切れる自信がない。

コンビニから歩いて5分で僕のアパートだ。
無事にかおりさんをお持ち帰り成功。

ソファーに二人で並んで座り、まずは缶チューハイで乾杯した。

(ふうっ)

住み慣れた我が家で一息付けた僕。

・・・

・・・・・

(で、この後どうすれば良いんだ!?)

僕のバイブルである漫画『アフロ田中』で、田中の恋愛師匠とも呼べる存在の鈴木さんはこんな名言を残していた。「男女が二人で密室に入れば、あとはイッツオートマチックだ!」と。

『上京アフロ田中』10巻第4話「イッツ オートマチック」より

だが、実際にそんな状況になってみると、まったくオートマチックではなかった。(ちなみに田中はきちんと付き合っている彼女が相手の話なので、僕のように不純な状況ではない。)

(どうすれば良いんだ、どうすれば良いんだ、どうすれば良いんだ・・・)

こういう極限状態に陥ったとき、誰かに助けを求めるということに考えが至らなくなってしまうのは僕の悪い癖だ。(合コンの帝王とか社長とか、頼りになる人はいっぱいいるのに。)


(どうれすれば良いんだ、どうすれば・・・)


ここで、僕の脳と精神は限界を迎えた。


(答えの出ない問題にこんなに悩むのは辛すぎる。)

(もう楽になりたい。)

(そうだ、考えるのをやめれば良いんだ。)


こうして僕は、脳の回路をシャットダウンした。

次に気付いたのは翌朝。僕はソファーに寝転がっている状態だった。
しかも隣にはかおりさんも寝ている。

どうやら昨日の夜、考えるのを諦めた瞬間、寝落ちしてしまったらしい。かおりさんをベッドに寝かせることもなく、そのまま放置して・・・。


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▼かおりさん編第1話
酔いどれ会計士かおり(1):赤ちょうちんに誘われて
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