空手女子高生るな(4):棚からぼた餅
早速、るなちゃんも含めたメンバーで練習が始まる。
まず最初は全員で突きの練習からだ。
皆、黙々とこなす。
るなちゃんには、太郎さんがやり方を教えている。
僕はなるべく意識しないようにしながら、ちらちらとるなちゃんの方を見る。
基本が終わると、メンバーそれぞれの習熟度に応じた練習に入る。
そのとき、太郎さんから声がかかった。
太郎さん「ひろしくん、るなちゃんと組んで練習して。」
(やったーーーーーー!)
このときほど、太郎さんに感謝したことはない。
空手教室に入った順で言うと、「その他→ひろし→るなちゃん」なのだから、
当然と言えば当然かもしれない。
でも、年代の近い若い男女がペアを組むという発想はなかった。
中学・高校では、男女別々が当たり前だったのだから。
こうして、るなちゃんと一緒に練習を始める。
相手の手のひらに向かって突きをする、という練習がある。
そのときには、るなちゃんの突きを受けられるのである。
(こうして軽く手が触れるだけでも、僕はドキドキした。)
それに、るなちゃんは本当にフレンドリーで話しやすい子だった。
初日から、僕に半分タメ口で、僕のことを「ひろし」と呼び捨てにして来た。
太郎さんには注意されていたが、
僕はむしろ、気を遣わずに接してくれることが嬉しかった。
予想もしていなかった出会いで、この日は人生の中でも最良の日の一つになった。
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▼るなさん編第一話
空手女子高生るな(1):中二病
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