女子大生マネージャーさくら(19):LINEメッセージ
流れが悪いときは、本当に悪い。
ある日の夜、帝王から1通のLINEメッセージが届いた。
帝王「さくら、彼氏が出来たらしいぞ。」
なんと・・・。終わった・・・。
聞けば、さくらさんがアルバイトをしている、例のシュラスコ店のバイト仲間だという。
しまった。あのとき、帝王と一緒にシュラスコを食べに行っていれば、阻止できたのだろうか・・・。
否。
どうせ目の前でイチャついているところを見せられるのがオチだな。
そう言えば、シュラスコってブラジル料理だ。よもや、ラテン系の軽いチャラチャラした外人にさくらさんが引っ掛かったなんてことはないだろうな。
そして、さくらさんに彼氏が出来たこともショックだが、それを帝王を通してしか知ることが出来ないという、自分の無力さも悲しい。
帝王は狙ってもいないのに、さくらさんとの距離を詰め、恋愛報告を受けるまでの関係性を築いている。片や僕は、2回も二人でデートしたのに、そういうくだけたやり取りが出来る間柄にはなっていない。
ダブルショックだ。
僕の恋心は打ち砕かれた。
恋愛経験皆無の僕が、好きな女の子を彼氏から奪い返すことなど、出来るはずがない。
というか、チキンな僕は彼氏持ちの女の子をデートに誘うことすら出来ない。
完全に、なすすべのない状態に追い込まれてしまった。
(もう、さくらさんのことは忘れよう)
僕は自分にそう言い聞かせた。
それから1ヶ月が経ち、2ヶ月が経ち・・・。
時間の経過とともに、心の傷も段々と癒されていった。
あっという間に年も明け(ついこの前に「あけおめザオラル」を唱えたばかりなのに!)、僕はさくらさんのことを完全に忘れかけていた。日常生活の中でさくらさんのことを考えることなんて、酔っ払って人恋しくなったときぐらいだ。
さくらさんの一件からは完全に吹っ切れた。
そう思っていた矢先のことだった。
さくらさんから、突然LINEメッセージが届いたのは。
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