女子大生マネージャーさくら(22):自転車とATフィールド
1年半以上振りのさくらさんとの再会。
なんだかんだあったが、やっぱりさくらさんに会えるのは嬉しい。
その日の僕は朝からウキウキしていた。仕事はあまり手に付かない。
いつもは日付が変わるまでサービス残業しているが、この日ばかりは19時過ぎに、早々に切り上げて、さくらさんとの待合せ場所に移動した。
集合時間ギリギリになってしまい、駅から小走りで向かうと、さくらさんは既に待っていた。
ひろし「お待たせしてごめん。」
さくらさん「いえ、全然大丈夫ですよ。」
さくらさんは以前とちっとも変っていなかった。(良い意味で。)
やっぱりかわいい。
ふと気付くと、さくらさんは両手で自転車のハンドルを握っていた。
ひろし「あれ、その自転車は?」
さくらさん「ああ、家から自転車で来たんです。最近自転車にハマってまして。」
ひろし「へぇ~、結構遠いよね。」
さくらさん「1時間くらいです。」
ひろし「なるほど…」
「ということは、お酒を飲む気はないんだね。」と、心の中で思った僕だが、紳士なので口には出さなかった。
別に酔わせてどうのこうのと企んでいるわけではないが、"お酒を飲める女性"が、お酒を飲んでくれないとテンションが下がってしまうのは僕だけだろうか。
何か打ち解けられないような、ATフィールド(心の壁)を作られているような、そんな印象を受けてしまう。だけどまあ、そんなことを言っても仕方ない。
僕たちは早速、予約していたお店に移動した。(さくらさんの自転車は、路駐していた。)
席に着くと、僕は生ビールを、さくらさんはオレンジジュースを注文した。
お肉の注文は、基本さくらさんに任せることにした。もともと僕は食へのこだわりが強くないので、相手側に任せてしまった方が楽だ。(本当は男としてリードすべきなのかもしれないが。)
ただし、前回の失敗(参照:(13):スシ食えねェ!)を踏まえて、こう前置きをした。
ひろし「オレあんまりお腹空いてないから、さくらさんが好きな物頼んでね。」
この一言だけで、あまり食べられなくても恥ずかしくない。我ながらファインプレーだった。
さすが元東大生。学習する男、ひろし。前回と同じ轍は踏まない。
一方さくらさんは僕の胸中など全く意に介さない様子で、お肉をどんどん注文していた。
気付けば、ご飯の大盛りまで頼んでいた。相変わらず、小柄なのによく食べる女の子だ。
まずは先に運ばれて来たドリンクで乾杯し、いよいよさくらさんとの再戦の火蓋が切られたのであった。
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