女子大生マネージャーさくら(24):カバーリング能力
さくらさんの"奢らす気満々発言"に対して、どう返すのがベストなのだろうか。
きっと合コン帝王なら、絶妙な返しで笑いを誘い、良い雰囲気に持っていくのだろう。(そもそも、帝王はそんな発言をさせる状況を作ることがあり得ないのだが。)
【パターンA】
ひろし「奢るから、せっかくなんでお酒飲もうよ!」
・・・アルハラの上に、飲酒運転のほう助だな。却下。
【パターンB】
ひろし「奢るから、食べ終わったらホテル行こう!」
セクハラ以上の最低発言。あり得ない。却下。
【パターンC】
ひろし「さくらさんがご飯付き合ってくれるなら、いくらでも奢るよ!」
僕が言えるとしたら、これが無難かつ限界のラインかな。
面白みは全くないけれど、空気は悪くならないし、僕の好意は伝えられる気がする。
【現実】
ははっ。・・・。
僕は乾いた笑いを発しただけだった。
さくらさんが焼肉屋さんを立ち去るということはなかったけれど、僕の実力でリカバリ出来なかったのは間違いない。
し、しかし、しょーがなかったんだ……
なんて答えていいか分からなかったんだ……
さくらさん「あ。何かお酒のおかわり頼みますか?」
結局、さくらさんのその発言によって、空気を変えてもらうことになった。いつものことながら、男としてものすごく情けない。
その後は次第に元通りの雰囲気を取り戻し、最終的には気まずい雰囲気は残らなかった。
僕個人の感想としても、さくらさんとひさしぶりに会話が出来てすごく楽しかった。
お会計は当初の予定通り、2万円弱という金額だった。
ひろし「じゃあ、ここはオレが出すから(笑)」
さくらさん「ありがとうございます(笑)」
さっきのやり取りがあるのでいつもと空気が違うが、お互い半分ネタに出来るぐらいになっていたので、問題なかった。
会計を済ませてお店を出て、僕はガムを口に含んだ。
さくらさんは自転車だし、本日のミッションはここまでだな。
ひろし「じゃあ今日はありがとう。運転、気を付けてね。」
さくらさん「ごちそうさまでした。それじゃあ!」
別れを惜しむ気持ちは微塵も感じさせず、さくらさんは自転車に飛び乗ると、夜の闇に消えていった。
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▼さくらさん編第1話
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