女子高生コンビニ店員あすか(5):デキル女とデキナイ男
その日は変則シフトだった。
土曜日だが、僕とあい先輩は夕方のシフトに入っていた。(17時~22時)
僕が出勤して制服に着替えたとき、事件が発生していた。
レジに入っている金額が少なかったのである。
僕の働いていたコンビニでは、引継ぎのタイミングで、レジの機械上の数字と、実際にレジに入っているお金が合っているかを照合していた。
金額が合わなければ、レジの入力、もしくはお客さんと授受した金額が間違っていることになる。
お金が絡むので、重要なポイントだ。
このとき、僕の前のシフトに入っていた人こそ、あすかさんだった。
あすかさんは相当焦っていた。
どうやら別の日にも、あすかさんがシフトに入った日に金額が合わなかったことがあったらしい。
店長から「今度やったらクビにする。」的なことを言われていたらしい。
(店長め、こんなか弱い女子高生に対しても容赦がない・・・)
この事件現場に立ち会って僕も焦った。
単純に、困っているあすかさんがかわいそうなのと、あすかさんに辞められたくない思いでいっぱいだった。
でも、何も出来ない・・・。
「大丈夫?」と、今思うと全く意味不明な言葉をあすかさんにかけるのが精一杯。
(大丈夫なわけないじゃないか!)
どうすることも出来ずにおろおろしているだけだった。
そのとき!
?「合ってるよ!!」
慌てて振り向くと、声の主はあい先輩だった。
そういえば、あい先輩はあすかさんの事情を聞いた瞬間、レジの方で何か黙々と作業をしていた。
そう、レジ内のお金を再計算していたのだ。
接客中のミスではなく、金額チェックのミスである可能性を考えて・・・。
結果的に、お金が足りないことはなく、あすかさんは無罪放免となった。
あすかさんは心底嬉しそうだった。
・・・。
僕は何て役に立たない、情けない先輩だろう。
それに対して、あい先輩のカッコよさは半端ない。頼もし過ぎる。
もし僕があい先輩のような行動を取っていたら、あすかさんを惚れさせることが出来たかもしれないのに・・・。
バイトを終えると、僕は敗北感を抱えて家路に着いた。
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