女子大生マネージャーさくら(13):スシ食えねェ!

テーブル席に通され、着席。

僕はメニューを見るフリをしながら、最初から考えていたセリフを吐く。


ひろし「このお店は『板さんおまかせにぎり』がお勧めらしいから、これを頼もう!」

さくらさん「はい、おいしそうですね。」


よしよし、ここまでは順調。帝王のアドバイス通りだ。


ひろし「他に食べたいものがあったら、遠慮なく注文してね。」

そう言って僕は、さくらさんにメニューを手渡した。

・・・これが悪手だった。

さくらさん「え~っと。じゃあ・・・」

・お造り5点盛り
・真鯛のカブト煮
・元祖穴子(穴子の一本付)
・アボカド海鮮サラダ
・マグロのカマ焼
etc

う、嘘だろ!?

僕はお財布の心配をしているわけではない。

こんなに食べるの!?だって既に、「板さんおまかせにぎり」を頼んであるんだよ?

僕より小柄なその体でそんなに食べられるの?


はっ!!

そうか、しまった。

さくらさんはアメフト部のマネージャーだ。

屈強なアメフト男子がモリモリ食べる姿をいつも目にしているはずだ。そして最初に出会った焼肉ジャンボでは、合コン帝王の圧倒的な食事パフォーマンスを目撃している。

男子はたくさん食べて当たり前と思っている可能性がある。

そしてそのモノサシで僕を測られると、小食な僕は恐ろしく貧弱で頼りない存在に見えてしまうのではないか。

非常にマズイ展開になった・・・。

さくらさんが注文したサイドメニュー(?)は、「板さんおまかせにぎり」よりも先に到着した。

テーブルを埋め尽くす料理の数々。なかなか壮観だ。

だが「おいしそう~」などとは言ってられない。これらを全て片付ける必要がある。

さくらさんは普通にパクパクと食べていた。

僕はなるべくさくらさんに食べてもらうように計算しつつ、それでも、あまりに食べないのは不自然なので、食べたくないメニューを必死に口に運んだ。

結果として、「板さんおまかせにぎり」が到着したときの状況はこんな感じ。

・ひろしの腹:8分目
・テーブルに残っているサイドメニュー:3割

(す、スシ食えねェ!)


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