女子大生マネージャーさくら(5):デートプランの欠陥
さくらさんとのすき焼きデートを控えたとある土曜日、僕は合コン帝王の家で宅飲みをしていた。
ひとまず、さくらさんとのこれまでのやり取りの経過を報告する。
帝王「今のところ、順調だな。店はもう決めたのか?」
ひろし「うん、新宿の近江源氏っていうお店にした。ここなんだけど。」
僕がスマホでお店の情報を見せると、帝王はさっとチェックを始めた。
そして、発した一言。
帝王「いきなり歌舞伎町とは攻めるな・・・笑」
む・・・?
なるほど、その発想は全くなかった。
確かにお店の住所は新宿歌舞伎町だ。言われてみると、この場所はガラの悪いイメージであまり良い印象がない。歩いている女性はよくキャッチに声を掛けられるというし、女性にとっては怖い街かもしれない。
そんなところを僕のような頼りない男と一緒に歩くことに、さくらさんは恐怖を感じていたりするのだろうか。(帝王ほどガタイが良い男性と一緒なら、安心なのだろうが。)
もしくは僕にホテルに連れ込まれるという恐怖?
いや、それに限ってはあり得ないな。こんな虫も殺せないような善良そうな人間に対してそんなことを感じるはずはない。(逆にアメフト部の屈強な大学生たちと一緒に過ごしているさくらさんの方が強いぐらいかもしれない。)
デートのお店選びはそういうところまで気にしないといけないのか・・・。今さらながらまた1つ、勉強になった。
とはいえ、今からお店を変えるわけにはいかない。選び直すのも大変だし、「歌舞伎町って不安だよね。別の場所にしよう。」なんてさくらさんに伝えるのも、なんか微妙。
とりあえず今回は気にしないことにした。
と、ここで帝王が僕にあるものをプレゼントしてくれた。
それは帝王行きつけのオシャレなアクアリウムバーの割引券。もちろん新宿にあるお店で、何回か帝王の合コンでも利用させてもらったことがある。
帝王「うまく行ったらここで口説けよ。」
本当に至れり尽くせりで頭が下がらない。何て良い友人を持ったんだ。
デートの準備はここまで。
帝王と僕は酒を酌み交わし、士気を高めたのだった。
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