オタク系キャバ嬢ひかり(11):いざ、キャバクラ
同伴・・・。
「同伴」とは、お店の出勤前に、ホステスとお客様が食事をしてから一緒にお店に入ることを指します。 食事ではなく、お茶や、映画やスポーツ観戦などのイベントということもあります。
まあお店で一回会っただけだし、同伴でもなければ、さすがにいきなりデートなんてしないか・・・。
ひかりさん「あ、でも無理して来てもらわなくても大丈夫ですよ。ホントに…」
恐らくこれは本心だと思う。
ひかりさんは良い人だし、嫌がる僕を無理に連れて行こうとは考えていないと思う。
だが、悲しいかな。
キャバクラに何度も通った経験がある僕は知っている。
同伴と伝えているのに男と一緒に出勤しなかったキャバ嬢は、お店に罰金を払わされることを。
それに、これでも僕は男だ。
そんな悲しそうな顔で「無理して来なくても大丈夫。」なんて言われて、「わかった。じゃあ行かないでおくね。」なんて答えられない。
それに、ひかりさんとはもっと一緒にいたいし、そのためにキャバクラ代を支払うぐらい、問題はない。もともとその想定をして、心の準備もして来た。
ひろし「いや、良いよ。全然行くよ!」
ひかりさん「本当ですか!?ありがとうございます!!」
この時のひかりさんの笑顔は、カモを引っ掛けたときの、悪い笑顔ではないと信じている。
話が付いたところで、ひとまず東方見聞録のお会計を済ませる。
金額は5,000円いかない程度だった。二人分の飲み代としては、とても安い。
もちろん、僕が支払う。
ここでも、ひかりさんは律義にお礼を言ってくれた。口先だけではない感じで。
擦れてない、良い子やで、ホンマに。
お店を出た僕たちは、2人で電車→徒歩でお店まで移動した。
お店の入り口で、ひかりさんが黒服(ボーイ?キャッチ?)のお兄さんに同伴出勤の旨を伝える。
同伴の時のこの瞬間は、むしろ一人で訪店するよりバツが悪い。
黒服に「ふん。こいつ、この嬢のカモなのかw」と思われている気がするからだ。
実際のところ、向こうは慣れっこなので何とも思っていないのかもしれないが・・・。
と、気まずい入店手続きをなんとかやり過ごしてしまえば、あとはこちらのもの。
ひかりさんは「着替えてくるのでちょっと待ってて下さいね。」と言って奥に消えていった。
僕は案内された席に座り、ひかりさんを待った。
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▼ひかりさん編第1話
オタク系キャバ嬢ひかり(1):傷つき、それでも生きていかなければならない
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