酔いどれ会計士かおり(4):社長のキラーパス
楽しい時間が過ぎるのは早いもので、既に22時を回っていた。
居酒屋のお別れパーティーもお開きの時間だ。
(これでこのお店ともお別れか。)
と、感傷に浸る間もなく、社長からこんな発言が。
社長「ひろし、この後かおりちゃん達とカラオケ行くぞ。」
僕の知らぬ間に、社長はかおりさん達とカラオケの約束を取り付けていたらしい。
なかなかの豪腕だ。もちろん、僕もかおりさんが気になっていたので、願ってもない話だ。
社長・かおりさん・ヨウさん・僕の4人は、近くのパセラに移動した。
カラオケでは、社長がほとんど1人で歌っていた(笑)
僕はそもそも音痴なのでカラオケは苦手だ。かなり酔っ払っていたとは言え、歌う気にはならなかった。
かおりさんは僕の隣で途中まで元気だったが、飲み過ぎたようで、僕の肩にもたれかかって眠ってしまった。(全く悪い気はしなかった。)
ヨウさんはどんな様子だったかは、あまり憶えていない。
1時間以上経過した頃から、次第に終電のことが気になり始める僕。
といっても、終電に乗りたいというわけではない。
(これは、終電のことは考える必要ないんだよな。社長含め、誰も切り上げる気配はないし。ということは、つまり今夜はそういうことなんだろう・・・)
ちなみにこのとき、僕は女性経験なし。色んな意味で、ドキドキが止まらなかった。
あっという間に0時を過ぎ、誰も何も言わないまま、終電の時間は過ぎ去った。
そして、ここで社長が動く。
社長「じゃあオレはヨウちゃんと帰るから、かおりちゃんをよろしくね!」
(社長のやつ、いつの間にヨウさんを口説いたんだ!?)
だがこれは、社長のアシストだとわかっている。社長も、もともとはかおりさんを狙っていたはずだった。だが、僕がかおりさんと良い感じだったので、アシストのためにヨウさんと一緒に消えてくれたのだろう。
社長の優しさが身に染みる。
僕はかおりさんを起こして外に出て、タクシーを拾った・・・。
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▼かおりさん編第1話
酔いどれ会計士かおり(1):赤ちょうちんに誘われて
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