酔いどれ会計士かおり(1):赤ちょうちんに誘われて

会社の近くに行きつけの居酒屋があった。

会社から徒歩1分。
銀座という立地に似合わず、赤ちょうちんを掲げおり、どちらかというと新橋寄りの雰囲気を持つリーズナブルなお店。

会社の人と飲みに行くときは、95%の確率でそのお店で飲んでいた。
多い時には、週4~5で通い詰めていたこともある。

店長や料理長、ホールの女性とも仲良くなり、来店したときにはかなりの高確率で1品オマケしてくれる。

ときには終電を逃した僕を、朝まで飲ませてくれたこともあった。(本当は1時で閉店)

ときには初対面のおじさんと意気投合し、そのまま家に泊めてもらったこともあった。(翌朝は、おじさんの家から出勤した。)

焼き鳥やウインナー・チーズハムカツが絶品だった。

我々サラリーマンの憩いのオアシス、まさにそんなお店が確かにあった・・・。

悲しい知らせが届いたのは突然のことだった。


社長「あの居酒屋が閉店するらしい。」

ひろし「えっ・・・。」


話によると、お店が入っているビルを壊して、ホテルを建てるらしい。
このとき、僕は土地の所有者を恨んだ。

当時は仕事が忙しくなり、前のように週に何回も通えるような状況ではなくなっていた。
それでも、閉店が決まってからは、なるべくそのお店で飲むようにした。

夜9時頃に会社を抜け出し、緑茶ハイ1杯と焼き鳥3本を食べてから、また仕事に戻ったこともあった。

そんな心ばかりの支援活動も虚しく、ついに閉店の日が近付いて来た。

そして閉店の2週間前、店長からあるお誘いを受けた。


店長「閉店の次の日、夕方から常連さんだけを集めて飲むから来なよ。」


とてもありがたい話だ。
ギリギリまでそのお店で飲みたい思いもあるし、常連と認めて誘ってくれるのも嬉しかった。

最終営業日は当然、会社のメンバーで飲みに行った。
金曜日ということもあり、普段でもお客さんが多かったが、その日は別れを惜しむ人も多く、大繁盛していた。こんなお店が、建物の取り壊しでなくなってしまうなんてと、やるせない思いを感じた。


そして翌日の土曜日。

会社の社長と一緒に、午後16時には居酒屋に到着。
前日の酒も残っておらず、体調的には万全。最後に思う存分飲めそうだ。

店内には既に何名か先客がいた。(乾杯はまだ始まっていない。)

(常連を集めたとは言っても、僕の知らない人ばっかりだなぁ)

そんなことを思いながらお客さんを見渡していると、このお店には似つかわしくない、若い女性の2人組がいることに気付いた・・・。


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