ペアーズの保育士めい(4):恋愛レベルは中学生
“10分後"という約束通りの時間に、めいさんからLINE通話が掛かって来た。
僕は震える手でスマホを拾い上げると、深呼吸して5秒待った。
着信からあまりに早く出過ぎると、「こいつ、心待ちにしてずっと構えていやがったな。」と思われてしまうので、あえてほんの少し間を取った。
ひろし「も、もしもし…」
普段から低い声が、緊張でさらに低くなっている。
めいさん「もしもし、めいだけど。」
めいさんの声も思っていたより低い。
緊張のせいか、普段からこんな声なのかはまだわからない。
そしてかわいい見た目とは裏腹に(写真でしか見たことがないけれど)、少しハスキーボイスだった。
そこからはあっという間だった。
最初は緊張していたが、少し話すとお互い慣れて来て、普通に話せるようになった。
事前にメッセージのやり取りを重ねてある程度仲良くなっていたので、会話に困ることもなく、予想していたよりもずっと普通に、そして楽しく会話することが出来た。
ただし、やはり緊張のせいか、細かい会話の内容は一切憶えていない。
ただなぜか、怖い話で盛り上がったことだけは記憶に残っている。どこからどう怖い話に辿り着いたかはわからないが、確かに怖い話で盛り上がったのだ。(深夜だったからだろうか?)
気付けばなんと、2時間以上も電話で話していた。
深夜4時近くになって流石に電話を切り上げたのだが、とにかく、時間を忘れる程、楽しく会話が出来たのだった。
ひろし「じゃあ、またね。おやすみ。」
めいさん「うん、おやすみ~」
電話を切ったあと、異常に興奮して眠れなかった。(翌日も普通に仕事なのに。)
(中学生か、オレは!)
1人で自分にツッコミを入れる。
でもよく考えてみると、"家族以外の女性と電話で会話する"という経験は生まれて初めてだった。それも、2時間も。
これまではせいぜい、デートのときに待ち合わせ場所で相手を見つけられず、「どこにいるの?」と電話を掛けたことがあるくらいだ。
そんな恋愛レベルでは、こんなにドキドキするのも仕方のない話か・・・。
この日以降、メッセージに加え定期的に電話でコミュニケーションを取るようになったことで、僕とめいさんの親密度は加速的に上がっていくことになる。
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ペアーズの保育士めい(1):マッチングアプリ黎明期の出会い
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