空手女子高生るな(19):抜け殻
空手教室にるなちゃんが来なくなってからというもの、僕はすっかりやる気を失ってしまった。
内発的動機づけと外発的動機づけの話を覚えているだろうか。
るなちゃんという、外部から与えられる報酬を失った僕は、
空手教室に通う理由がなくなってしまったのだ。
僕は初めて、空手教室を無断欠席した。
次の週も、無断欠席した。
さすがに、太郎さんから電話が掛かって来た。
太郎さん「最近来てないけど、どうしたの?」
ひろし「すみません、最近忙しくなってしまって。」
僕は太郎さんに嘘をついてしまった。
その後しばらく悩んだ結果、空手教室を退会することを、太郎さんに伝えた。
太郎さんは残念がってくれた。
本当はこんなダメな理由で辞めたなんて、太郎さんには絶対に言えない・・・。
結局僕に残ったのは、「空手9級」という称号だけだった。
むしろカッコ悪い。途中で挫折したことがバレバレだ。
ひろし「オレ、空手やってたんだぜ!」
?「へぇ~、見かけによらないね。黒帯持ってんの?」
ひろし「いや、9級!」
ダサすぎる・・・。
僕は空手をやっていたことは秘密にして、墓場まで持っていこうと決めた。
るなちゃんは、僕のいないどこか別の場所で、空手を続けているのだろうか・・・。
(完・・・?)
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