雨中に舞い降りた天使さやか(2):相合傘

突然見知らぬ女性が傘に入れてくれたことに、驚きを隠せない僕。

(世の中にはこんな天使のような優しい人がいるのか!)

戸惑いはあったが、せっかくなのでここは傘に入れてもらうことにした。

聞けば、彼女も家が同じ方向だと言う。


顔を確認したいが、僕の顔を滴る雨と夜の暗さのせいでハッキリとはわからない。

だが、シルエット的に若くてかわいい雰囲気は感じ取れた。


ひろし「いや~、こんな優しい人がいるんですね。」

天使「前を歩いてるのを見てビックリしちゃって!慌てて追いかけました(笑)」

(何度でも思う。天使か!)


天使「私の家、〇〇の近くなんですよ。」

ひろし「あ、てことは、僕の家の方が遠いですね。」

天使「結局濡れちゃいますね(笑)」

ひろし「いや、途中まで入れてもらえるだけで十分ですよ。」


そんなこんなで、彼女の家の近くに来たタイミングで、僕たちは別れることになった。

時間にして7分程度の相合傘、とてもドキドキした。


別れ際、彼女が言ってくれた。

天使「せっかくなんで、電話番号交換しましょう。」

ひろし「良いですよ。080-・・・」


平静を装いながら、僕の心臓は高鳴っていた。

彼女とバイバイして、引き続きの土砂降りの中、小走りでアパートに向かう。


(これはまさかの逆ナンってやつか!?)

(いや、でも彼女、後ろから追いかけて来たから、僕の顔は見ていないはず。)

(じゃあ何だろ、もしかして、運命?)

(家もめっちゃ近いし、会うのにも困らないな。)


僕の頭の中には、小田和正の『ラブストーリーは突然に』が流れていた。


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