空手女子高生るな(15):闇取引

僕は夜道を自転車で疾走していた。

るなちゃんから、学園祭のチケットを受け取るためだ。

空手教室で受け渡すチャンスがなかったため、
るなちゃんの家の最寄り駅まで行き、そこでチケットをもらう手筈になっていた。

駅までは自転車で5分程度。

少し早めに着いたので、るなちゃんにメールを入れる。


ひろしメール「着いたよ~」

るなちゃんメール「こっちももうすぐだからちょっと待ってて。」


しばらくして、るなちゃんも自転車に乗ってやって来た。

いつもと違う場所で見るるなちゃんは新鮮だ。そしてやはりかわいい。


るなちゃんは、約束通り学園祭のチケットを渡してくれた。
みんなが羨むプラチナチケットだ!

僕は代わりに、先日クラス旅行で訪ねた山中湖のお土産を手渡した。

これにて、闇の中の取引は完了した。


しかし、今思うともう少しやりようがあったように思う。

今の僕なら、「お礼にメシ行こう。」と誘うだろう。
ご飯がダメならカフェでも良い。

るなちゃんなら、絶対に付き合ってくれたと思う。(お店に)

でも、当時の僕には経験値が圧倒的に足りていなかった・・・。


チケットを受け取り帰ろうとした僕に、るなちゃんが嬉しいことを言ってくれた。


るなちゃん「せっかくだから、学園祭の日に学校でちょっと会おうか。メールして。」


おおおお!
だから好きさ、るなちゃん!!


こうして、二人は解散し、僕は再び自転車で家に戻る。

秋の風は冷たくなっていたが、僕の心はホカホカだった。


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