女子大生マネージャーさくら(15):プラン崩壊
箸が進まない。お酒を飲むことすら苦しい。
結局、お寿司は半分以上残してしまった。
一方、さくらさんは自分の分をペロリと平らげてしまっていた。
ダサい。これは男としてダサすぎる。
これ以上足掻いたところでどうにもならないと判断した僕は、お会計をお願いした。
合計1万円ちょっと。金額はリーズナブルだ。
なんせ、2人でお腹いっぱいお寿司を食べてこの値段なのだから。お腹いっぱい過ぎたが…
お会計を終えた僕たちは、美登里寿司を出る。
このとき、僕のHP(お腹具合)もMP(精神力)も限界に近付いていた。
ここで、僕がデート前にたてた、ゴールまでのプランを思い出してみる。
手をつなぐ
↑
良い雰囲気を作る
↑
一緒にイルミネーションを見る
↑
自然とイルミネーションに誘う
↑
会話を盛り上げて糸口を探る。(寿司屋で無理なら、二次会まで行く)
最初のステップである、「会話を盛り上げて糸口を探る。」は達成出来ていない。
むしろ、僕の小食っぷりに、さくらさんはシラケてしまっていたと思われる。
では、プランBに移行すべきか。
プランBの内容は、「寿司屋で無理なら、二次会まで行く」なのだが・・・。
僕はさくらさんの前で醜態を晒している。お腹いっぱいでお寿司を残す姿を見られている。頼んだ日本酒も、まだ残っている状態でお会計をしている。
そんな男が、どの面下げて「次のお店に行こう」なんて誘えるのだろうか。
「どうせ何も飲み食いしないくせに、違うお店に入るの?」と思われてしまうだけである。
苦しい。こうなったら強引に手をつないでしまうか。
段階は全く踏んでいないが、パワープレイに賭けてみようか・・・。
とそのとき、耳当てを装着し終えたさくらさんは、カバンからゴソゴソと何かを取り出した。
手袋だった・・・。
さくらさんは取り出した手袋を、両手にしっかりと装着した。
(ま、まさか。僕が手を繋ごうとしていることを読んで、防御のために手袋を?)
これで強引に手を繋ぐ線も消えた。付き合ってもいない手袋をしている女性の手を握りに行くことなんて、僕にはさらにハードルの高いことに思えた。
最後に、一縷の望みをかけて、僕は聞いた。
ひろし「さくらさん、イルミネーションに興味ある?近くに有名なイルミネーションあるけど、行ってみない?」
さくらさん「あー、すみません。今日はもう帰ります。」
うん、この結果は見えていた。さすがの鈍感な僕でも。
僕は、新橋駅に消えて行くさくらさんの背中を見送った。
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▼さくらさん編第1話
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